真のコレクターだけが知るボヴェの神髄
孤高を突き進む
本物の改革
「ボヴェのオーナー兼社長のパスカル・ラフィの家系は、五世代に渡って続く世界屈指の時計コレクターだったこともあり、現在の時計ブランドの経営者として彼以上に、真のコレクターたちが求めているものや彼らの価値観を理解できる人物はいないでしょうね」
ボヴェ・フルリエのセールス ディレクターを務めるクルト・ヘフティ氏は、パスカル・ラフィ氏の良き代弁者でもある。ついに完成した天文時計最新のコレクション『リサイタル22 グランドリサイタル』のお披露目のために来日したのを機に、ヘフティ氏にボヴェというブランドの本質を訊ねると、唯一無二の究極的な姿が浮かび上がってきた。
「時計コレクターとして、最もラフィの心を奪ったものは19世紀に製作されたボヴェの懐中時計でした。当時、フルリエで作られた“最高のボヴェ”は、ジュネーブなどの時計メーカーが作った“製品”とはまったく次元が異なり、時計職人と美術家がそれぞれの究極の技を競い合って創作する“美術工芸品”の世界でした。ですから、資産家であり、ビジネスで大きな成功を収めたラフィが、2000年にボヴェを買収し、オーナーとなった際、目指したのは19世紀の“最高のボヴェ”だったのです。その比類なき世界観を現在の技術と感性によって、腕時計として表現していくことでした。具体的には3つのブランド哲学に集約できるでしょう。ひとつはスイスの伝統的な時計製造技術を継承し、それを独自の技術開発によってさらに発展させること。二つ目は、単なる技術革新ではなく、芸術的なデザイン性と融合させることによって、ボヴェならではの“美術工芸品”としての世界を追求していくこと。そして三つ目が、汎用的なムーブメントを採用するのではなく、ヒゲゼンマイに至るまで完全自社製造する希少なリアルマニュファクチュールとして、コレクションひとつひとつにオリジナリティ溢れる独自の複雑ムーブメントを創作していくことです。そして、これらを実現することは、同時に世界の一流コレクターたちを満足させることでもあり、彼らだけが知る“本物の革新”であると考えています。現在、ボヴェにおいて、どんな価格帯のコレクションであっても、“本物の革新”が凝縮しています。それはパスカル・ラフィ率いるボヴェだからこそ実現できた、スイス時計の快挙といえるでしょう」
1955年、スイス生まれ。大学卒業後、スォッチ グループ、DKSHなどで時計ビジネスのキャリアを重ねる。2011年、ボヴェに入社し、アジア地域のセールス ディレクターとして現在に至る。
BOVET/ボヴェ
アマデオ フルリエ ヴィルトゥオーソV
2015年に発表したヴィルトゥオーソVを芸術的に発展させた新作。センターにジャンピングアワーと12時位置にレトログラード分表示を搭載した表の文字盤には、職人のハンドメイドによるボヴェ オリジナルのギョーシェ模様が彫り込まれ、その上から半透明のブルーラッカーを塗布。最後に表面を研磨することで美しいブルーギョーシェ文字盤を完成させている。複雑機構を時計の両面で表示する手巻きキャリバーを搭載。5日間のパワーリザーブ。ローズゴールドケース。ケース径43.5㎜。アリゲーターストラップ。
845万円(税抜)。
問い合わせ/DKSHジャパン☎03-5441-4515
両面の秒針は同軸ながらいずれも時計回りに回転する個性溢れるモデル。ギョーシェ模様が美しいクラシカルな表の文字盤と、ムーブメントの構造美を表現した裏面(写真下)の対比がボヴェならではの意匠だ。手巻き。7日間のパワーリザーブ表示。ホワイトゴールドケース。ケース径43㎜。アマデオコンパーチブル システムを採用。アリゲーターストラップ。
670万円(税抜)。
裏の文字盤は、メカニズムの美しさを鑑賞できるだけでなく、独自のリバースドハンドフィッティング機構により、時・分・秒を表示。さらに7日間のパワーリザーブインジケーターを搭載している。
1930年代の懐中時計からインスパイヤーされて誕生したコレクションで、ボヴェのクオリティと気品を楽しめるエントリーモデルだ。表にはジュネーブコート、シースルーバックから鑑賞できるムーブメントにはベルラージュの美しいエングレーヴが施されている。7日間のパワーリザーブ表示。手巻き。ステンレススチールケース。ケース径42㎜。シースルーバック(写真下)。アリゲーターストラップ。
240万円。