RICHARD MILLE/リシャール・ミル

毎年、SIHHの話題の中心となるのがリシャール・ミルの新作だ。独創的な挑戦テーマに対し、革新技術と最先端素材によって克服し、衝撃的な新作を発表し続けてきた唯一のブランドだ。そのリシャール・ミルの今年のハイライトは、ポロ競技の激しい接触戦から身を守る驚愕の耐衝撃性モデル『RM 53-01 トゥールビヨン パブロ・マクドナウ』だった。問い合わせ/リシャールミルジャパン☎03-5511-1555

ポロの激しい衝撃から護る
驚愕トゥールビヨン誕生

  ポロは人間と馬が一体となって競う、スピードと平静が共存する紳士のスポーツだ。が、「ポロは凄まじい衝撃が頻繁に発生する非常に危険なスポーツです。エレガントでありながら、接触プレイが多いのです」と、リシャール・ミル氏が語るように、非常にリスキーなスポーツでもある。実際、ポロ競技界のスーパースターであり、リシャール・ミル ファミリーの一員でもあるパブロ・マクドナウは、これまでのキャリアの中で何度も骨折を経験しているという。リシャール・ミル氏は技術陣に対して、「パブロのためにポロ競技で生じるあらゆる衝撃に耐える時計の開発」を指示したのは、当然の成り行きだったのだろう。しかも「ムーブメントが見えるように」という指示も忘れなかった。

  たとえサファイアクリスタルであっても、マレット(ポロ競技で使う木製のスティック)で強打されると時計の風防ガラスは粉々に砕けてしまう。そこでリシャール・ミル技術陣は、サファイアクリスタルのスペシャリストとして世界的に有名なステットラー社の協力を得て、自動車の分野で用いられるラミネート加工技術の採用を決断した。時計業界初となる挑戦で、薄いポリビニールのフィルムを2枚のサファイアクリスタルで挟んでいる。そのためマレットによる凄まじい衝撃でもヒビが入るだけで砕け散ることはない。これが第一のポイントだ。次に、くぼみを入れることで全体の構造を強化したケース。カーボンTPT®を採用し、破壊不可能といえるほどに優れた剛性に加え、微小なヒビや断裂に対する耐性も備えている。さらに第三のクライマックスは、衝撃が大敵となるトゥールビヨン機構。その解決策はケーブルを使ってムーブメントを吊るすサスペンション構造だった。2枚の地板を使い、1つ目の“周囲”の地板は、ケースに固定され張力装置を備えている。そして2つ目の“中央”地板はムーブメントそのもので、ケーブルによって10個のプーリーを介して“周囲”の地板に装備された4個の張力装置で支えられている。こうして誕生した驚異の耐衝撃性トゥールビヨンモデルが、世界限定50本の『RM 53-01 トゥールビヨン パブロ・マクドナウ』というわけだ。

粉砕を防ぐ特殊な加工を
施した風防ガラスを採用

RM 53-01 トゥールビヨン パブロ・マクドナウ
ケーブルを使ってムーブメントを吊るす独創的なサスペンション構造によって驚異的な耐衝撃性を実現したトゥールビヨン。薄いポリビニールを2枚のサファイアクリスタルで挟んだ風防ガラスを採用することで、激しい衝撃を受けてもヒビが入るだけで粉砕の危険を回避。また無反射のUVコーティングを施しており、紫外線の影響からムーブメントを保護している。手巻き。カーボンTPT®に特殊加工を施し古代インドのダマスカス鋼のような光沢のある木目模様を持つ剛性に優れた素材をケースに採用。縦49.94×横44.50mm。シースルーバック。ラバーストラップ。世界限定30本。1億230万円(税抜・予価)。年内発売予定。


4つの張力装置に連結した2本のケーブル(スティールを編みこんだ直径0.27mm)が10個のプーリーを介してムーブメントを支える独自のサスペンション構造を実現している。

RM 07-01 ブラックセラミックス ジェムセット
セラミックスにジュエリーをセッティングするという新しい技術から誕生したレディスモデル。驚異的な硬度と傷に対する耐性を持つATZブラックセラミックスのベゼルには最上級クラリティのダイヤモンドをセット。さらにブラックオニキスのダイアルにもダイヤモンドが装備されており、漆黒のブラックと輝くダイヤが美しいコントラストを見せている。自動巻き。レッドゴールドケース。縦45.66×横31.4㎜。シースルーバック。ラバーストラップ。2310万円(税抜・予価)。年内発売予定。