BOVET/ボヴェ

毎年、ジュネーブ市街地の超高級ホテルで独自の展示会を開催し、驚愕の新作を発表し続けているボヴェだが、今年も例年に勝るとも劣らない画期的なコンプリケーションをリリースしてきた。ボヴェの卓越した技術力、芸術性、そして創業者に纏わるヒストリーを凝縮させたマスターピースだ。問い合わせ/DKSHジャパン☎03-5441-4515

2つの半球形世界地図が
200年前の偉業を象徴

 ボヴェの創業者、エドアール・ボヴェが正式にブランドを立ち上げた1822年から遡ること4年前、ひとつの大きな転機があった。この年に先立ち、時計職人としての並外れた才能に加え、販売技術を磨くために故郷のフルリエを去り、世界貿易の要衝ロンドンへと向かったエドアールは、この新天地で大きな決断をする。彼は1818年4月20日、イギリス東インド会社の商船オーウェル号に乗船し、4ヶ月かけて中国・広州へ旅立ったのだ。同年8月16日、広州に到着した彼は、比類なき精巧さと芸術的な美しさを兼ね備えた4つのタイムピースを携行していた。スイスの時計製造史によると、その4つの作品は中国人収集家によって、現在の価値に換算すると約100万スイスフランで購入されたと記されている。ボヴェの時計の評判は宮廷、さらには皇帝にまで届き、以来、ボヴェのコレクションの虜になり、“ボヴェ(ボーウェイと発音)”という言葉は、中国語において高品質の時計を指す代名詞として使われるようになったほどだ。1818年にエドアール・ボヴェが敢行した“グレイト ジャーニー”は、中国での成功を実現させただけに留まらず、フルリエの時計職人たちに多大な影響を与え、この地に時計産業を興した上でも、スイス時計史に残る偉大な金字塔だった。

  その史実から200年を経た今年、エドアール・ボヴェへのオマージュとして、旅をテーマにした新たなコンプリケーションが誕生した。それが『エドアール・ボヴェ トゥールビヨン』だ。2015年に発表したフライング・トゥールビヨンの構造を再考し、10日間最適化された状態を保つ動力と、計時精度を飛躍的に向上させた両面フライング・トゥールビヨンを採用。さらに注目すべきは、センターの時分針で現地時刻を表示し、象徴的な2つの半球形世界地図ディスプレイでの2つのタイムゾーンを表示していることだ。それぞれのディスプレイの上にある窓で、選択された2つの時間帯にある代表的な都市名が表示されるという、まさにフルリエからロンドン、そして中国へと巡ったエドアール・ボヴェの偉業を象徴する独創的なトリプルタイマーの誕生といえるだろう。

空中に浮遊する神秘的な
フライング・トゥールビヨン

エドアール・ボヴェ トゥールビヨン
2つの半球形世界地図ディスプレイにより第2・第3時刻帯を表示するトリプルタイマー機能を搭載した独創的な新作。世界地図上の針と連動した都市名がその上部の窓で表示され、その時間帯の時刻が24時間計で表示される。新設計の手巻きキャリバー「16BM04-TT」には、特許取得済の両面フライング・トゥールビヨンが搭載され、ボヴェならではのトゥールビヨン・キャリッジが空中に浮遊しているように見える美しさを表現。デイ・ナイト表示。独自のリバースドハンドフィッティングにより裏面で時分表示、10日間のパワーリザーブを表示。ホワイトゴールドケース。ケース径46mm。アリゲーターストラップ。60本の限定生産。4350万円(税抜)


両面で時刻表示を行うムーブメントを備える第2面のダイアルは、細部に至るまでハンドエングレービング装飾が施されている(写真右)。特許取得済みのアマデオ コンバーチブル システムを採用。特別な工具を用いることなくデスククロック、ポケットウォッチへと変換させることが可能(同左)。

アマデオ フルリエ ヴィルトゥオーソV
2015年に発表したヴィルトゥオーソVを、芸術的に発展させた新作。ジャンピングアワーとレトログラード分表示を搭載した表の文字盤にはダイアル職人のハンドメイドによるボヴェ オリジナルのギョーシェ模様を彫り込み、その上から半透明のブルーラッカーを塗布、最後にダイアルの表面を研磨することで、美しいブルーギョーシェのダイアルを完成させている。手巻きキャリバー。5日間パワーリザーブ。ローズゴールドケース。ケース径43.5mm。アマデオ コンバーチブル システムを採用アリゲーターストラップ。845万円(税抜)。